私が15歳くらいの頃、女子のリアクションは概ね「うそ〜」であった。「お母さんに”うそじゃなくて、ほんとって言いなさい”って怒られた」と言うクラスメイトもいた。当時は口癖のように皆が使っていたので、何かを言って「うそ〜!」と返されても、感じが悪いともなんとも思わなかったが、クラスメイトのお母さんの言うことはもっともだな、と思った。未だに覚えてるくらいだ。
16歳で渡米するとき、母が「アメリカでは"嘘”というのは、日本より重い言葉だから軽々しく"liar"とか人に言っちゃだめよ」と言った。日本語だと友達同士で、「うそつき〜、うそばっかり〜」と軽く使うことは日常的であったため、いまいち母の忠告がピンとこなかった。
渡米したばっかりの頃は、それこそ「うそだろ」と言いたいくらい毎日毎日何がなんだかさっぱりわからない生活を送っていて、人に対して「うそつき〜」などとリアクションするような状況はなかった。慣れてくると、やたらと"You're kidding!"という文章をアメリカ人が使っているのに気づいた。"kid"ってどういう意味だ、と辞書で引かねばならなかった。「子ヤギ」。違う。口語で「からかう、だます」の意である。この"You're kidding"が、日本における「うそ〜」とか「それ、まじ?」だと推測した。そうか、"you're lying"じゃないのね、と母の忠告を思い出した。確かに"lie"というのは、もっと深刻でおおごとな感じだと在米期間が長くなるとともに思った。
ということを、オバマ氏のスピーチ中に"You lie"と野次った共和党議員にけん責決議が採択されたというニュースを読んで思い出したのだった。そりゃ、日本でだって総理大臣がスピーチ中に「このうそつき!」と野次るのはいかんだろうが、英語だともっとserious accusationな感じがするんだよなと思ったのよ。