かつて、私もエステなんぞに通っている時期があった。とはいえ、優雅でオサレなエステサロンではなく、それまで行きつけだった、見た目も中身も「町の化粧品やさん」という感じの店の人がエステの資格も取り、店の一角にパーティションで仕切られたせまいスペースをエステスペースとしたものであった。店に客(大抵、近所のおばさん)が来れば、ちょっとすみません、と私は放置されることもよくあった。こんな感じで気軽なエステであった。
雰囲気は気軽とはいえ、やはりお金はそれなりにかかった。都度払いのフェイシャルではなく、化粧品を最初に揃えておいて、毎回払うのは施術料1500円のみというコースを選んだ。その方が一回の料金は4500円くらいで他のコースより安くすむと言われたからだ(10年以上前の話)。確かにそうだったかもしれないが、化粧品が全部一度に無くなることはないわけで、今日はパックがなくなったから買い足し、次はマスク、次は化粧水、などなど、アリ地獄のように化粧品購入が続くので、しばらくしてやめた。残った化粧品は、快く全部引き取らせてくれた。まあ、私のなんだから当然なんだけど。
通っていたとき、輝くような美しいお肌になっていたかどうかは大いに謎である。こういうものは、リラックスを第一の目的とするのが正しい姿勢のような気がする。奇跡は起こりませんよ、奥さん。そりゃ、リラックスすれば肌にも結果的に良いわけなんで、お金のある人はやってもいいんじゃないでしょうか。
一度、フェイシャル直後に眉を整えてもらったことがあるのだが、私の頬に彼女の手が当たったとき「ぷりぷりで、手に吸い付くようですよ〜」と褒められた。内心、そりゃあれだけ色んなもの顔にべたべたつけりゃ、手もくっつくよ、と思った。エステでリラックスするには、エステティシャンの褒め言葉を素直に喜べる性格の人じゃないと無理かもしれない。
この時期は、エステだけではなく、普段使う化粧品も高いものに手を出してみたりしていた。「DNAに働きかける!」などという売り文句に「そんな馬鹿な」と反応しながらも、実は劇的な美肌効果を期待して買ってみたりね。
しかし、化粧品会社というところは、宣伝がものすごくうまいと思う。これだけ色々なメイクものが出ているというのに、春と秋には必ず新製品を続々出すではないか。そして、去年のものはもう古臭い、と思わせる術もうまい。「限定コンパクトケース」とか、限定もので購買意欲を駆り立てるのもさすがである。
今の私は、ドラッグストアのものや安い通販で充分と感じる。かぶれなきゃ、なんだっていいよ。
最近ねえ、奥二重のはずだったのに、まぶたがたるんできて、二重になっているときが多い。手術したと思われるかな。ヤだわ。こんなこと化粧品カウンターで言ったら、アイクリームも使わず、お手入れを怠っていたからですよ、お客様!とか叱られそうだな。