行ってきたわよ、"La Cage Aux Folles" at Swedish Theater in Helsinki. おもしろかった〜っ。当然スウェーデン語なので、単語がときどきわかるくらいだが、話はよく知っていたので大丈夫だった。でもまあ、みんなが笑ってるところで自分だけわからないのはなんだか寂しくもあるけどさ。Some day, some day...
まずは、劇場向かいにあるイタリアレストランVespaで夕食。予約をしておいて正解。火曜日だから空いていると思う、とPは言っていたのだが、なぜか満席だった。カジュアルな感じ。値段もそんなに高くない。スタッフも感じの良い人ばかりだった。リゾットとパスタを頼んだが、私にはちょっとしょっぱかった(全部食べたが)。フィンランドのレストランで頼むものって大抵塩辛い。寒い地域は塩分の強いものを食べると聞いたことがあったが、まさにそうだなと思う。
食後、劇場へ。暖冬なおかげで、膝丈スカートを履いて外を歩いても、寒さで足が痛いということがない。まあ、それでも3度だったので、これが広島だと「今日は寒いから着込まなくては」と思ってしまう気温なわけだが。
コートを預けたところで、Pが「あ、僕のことを嫌ってるクライアントがいる。話しかけてやる」とスーツ姿のおじさんにアプローチ。嫌ってるという割には、えらく笑顔で愛想がいいおじさんである。仕事の話をしているようだったので、私はちょっと離れて待つ。なんだか二人で楽しげにワハハと声を上げて笑ったりしていた。内心は次にどう出るかとか考えながら笑ってんだろうな、とちとおかしかった。おじさんと別れた後、Pは「彼と話ができただけでも今晩来た甲斐があった」と嬉しげ。私の提案で見に来た芝居だったが、お役に立てて何よりである。
劇場はこじんまりしたところであった。ステージも小ぶり。Pと私の席は3階の正面バルコニー。他よりちと安いミドルプライスの席。これ、あたしのおごりだったもので(苦笑)。洗面所のシンクにヒビを入れたお詫びですわ(くーっ)。一列目に座ったので舞台はよく見えたが、二列目以降、ましてや最後列だと見づらいことこの上ない(最後列はもっと安い)。一列目にしか客はおらず、他は空いていたのでちょっと試しに座ってみたのだ。1階のステージ正面は、見上げることになって私はあまり好きじゃないのでバルコニーにしてみたんだが、2階の方が良かったな。今後、行くことがあればそうしよう。
幕があがったとき、舞台に立っていた役者の一人を見て、Pが「あの人と軍隊で同じ兵舎だった」と言う。なんか、みんなと知り合いですね、あなた。
話の舞台がドラッグクイーンのナイトクラブなわけだから、ショウそのものがおもしろい。テレビでしか見たことない派手なコスチューム、ダンスに歌。皆さん、動きもいわゆる今で言う「おねえまん」でウルトラフェミニン。そんなシナ作る女、いねーよってやつ。パンプス履いてよく踊れるなあと感心。
インターミッションでは、カフェにケーキやコーヒーが用意されている(有料)。ケーキは甘いだけでおいしくなかった。飲み物だけにしておけば良かった。Pの報告によると、「プロフェッショナルレベルのパフォーマンスじゃないわっ」などと文句を言っている客がいたらしい。厳しいなあ。楽しいからいいじゃん、と私は思ったんだが。ブロードウェイバージョンだともっと完璧なのかなとは想像できる。ときどき他とあってない踊りをする人がいたりするのは確かだったし。だが、全体として私はワクワクしておもしろかったよ。
コーヒーとケーキを買い、座れるテーブルはないかと探したが、どこも人がいる。壁際のカウンターで立ってコーヒーを飲んでいる親子らしき男性二人が、自分達のコーヒーをどけてここへどうぞ、とジェスチャーしてくれた。Pがなにやらスウェーデン語で話し、いきなりお父さんの方に自己紹介をし、握手をすべく手を差し出した。えー、カウンターをシェアするだけで名前まで名乗らなきゃいけないのか、めんどくさー、と思ったが、流れにまかせて私も笑顔で握手。お父さんは、いきなり「ハジメマシテ。ドウゾヨロシク」と日本語で挨拶。「まあ、こちらこそ」と軽く会釈をしてみる私。ちなみに20代らしき息子は王子様かというようなハンサムだった。握手が済んだ後、Pが英語で、息子の方が彼の大学の後輩にあたり、彼の会社のプロジェクトに関係していると説明。なんだ、知り合いだったのかっ。それでお父さんに挨拶したわけね。知らない人なのにいきなり自己紹介したのかと思った、と言ったら、皆笑っていた。そして、なんとこのお父さんは、20年前に東京に6年間住んでいたというのだ。「I worked at フィンランドタイシカン」とのこと。息子は東京生まれらしい。
日本語は難しい、いやいや、フィンランド語だって大変、スウェーデン語は簡単だろう、いやいや、簡単なわけない、とのやり取り。"Kay understands Swedish"とPが大嘘を言うので、"ネイ、ネイ、ネイ!"と頭をブンブン振って否定。ネイしか言えないのに。
第二部が始まるベルがなったので、"Enjoy the show"と彼らに別れを告げ、席に戻る。「やっぱりヘルシンキはせまい」とP。確かに、Pと出かけると、ほぼ必ず知り合いに出会う。先週末、デパートに行ったときも前の会社の人に会ったし。舞台に立ってる人まで知り合いだし。
二部はさらにおもしろかった。一部のときは観客がまだウォームアップ中というか、フィンランドの人って控え目だからか、反応がいたくおとなしかったのだが、二部では雰囲気も熱くなってきて、拍手も大きく盛り上がった。(第一部では、私の拍手がでかすぎるとPが私の手を押さえたくらいだったのだが、こういうときはメリケンな私は、「あんた達がおとなしすぎんのよ」と言うと、まあねと頷いていた。)フィナーレも派手で楽しかった。キャスト全員が最後に並んでお辞儀をするとき、主人公役の人が観客席の上の方にいる照明係にも、ジェスチャーでacknowledgeしていたのが感じいいと思った。
言葉は分からなくても、ミュージカルなら十分楽しめるということがわかった(まあ、given that you know the story already)。久々に高揚してポジティブな気分になれたわ(ふっ)。