夜6時半くらいに玄関のベルが鳴った。Pの友人が7時に来るはずだったので、その人が早く来たのか、それともPが帰宅したものの、私へのプレゼントの山で手がふさがって鍵が出せないのかなと思い(ありえん)、ドアを開けた。すると、軍服を着たハンサムな若者が貯金箱のようなものを持って立っている。あちゃー、寄付か、と警戒。家にまで寄付を要求しにくる人を私は大いに警戒する。ガールスカウトクッキーくらいならまだいいけど。あれはこっちがクッキーを買ってるわけだから。
なんかフィンランド語で言われたので、言われたことは推測できたが、"あーーーい'm sorry, I don't speak Finnish"と冷たい言い方の私。だが、頭の中では、「断るわけにもいかんな、寄付はどれくらいが相場なのか、小銭あったっけ、いや、こいつは軍服コスチュームを着た詐欺師ってことはないだろうな」と色々考えていた。彼は、一瞬かたまり、ゆっくりと"I, I don't speak Finnish... English very well."と言う。か、可愛い。彼は考えながらさらにゆっくりと話す。"I...collect money"と箱を差し出し、"from... for fighters."とワンセンテンス終えたところで笑顔。くーっ。"Oh, I see. For veterans."と言うと(わざとらしいなあ、ドア開けた瞬間にわかってた癖に)、"Yes, veterans."とうなずく。ちょっと待っててね、と財布を取りに部屋へ。彼が持っていた箱は、コインしか入らないような貯金箱形だったので、お札を期待しているわけではあるまいと判断。昨日バス代に小銭を使ってしまい、2ユーロコインが一つしかない。あとは5セントコインが少し。5セントってわけにも、と思い、2ユーロを出しながら、これしかないわ、今、と言うと、"That's enough. Thank you."と笑顔。"OK, bye now."と私も笑顔でドアを閉める。
しばらくしてPが帰宅したので(手ぶら。自分で鍵を開けて入ってきた)、軍服着てお金を集める詐欺師っていないよね、と確認。なんの話だ、と言うので、若くていい男がさっきお金ちょうだいって来たので、2ユーロあげた、と説明。"Young and good looking? Did you invite him in?"と言われ、「欲望という名の電車」のワンシーンを思い出した。新聞の料金だったかなあ、忘れたが、何かの集金に来た若い男性に、ブランチが火を貸してとか、カフェに行ってチェリーコークを飲むのか、とか言ってflirtする場面。きゃー、いけないわっ。
そして、たった今、夕食後友人と出かけたPから電話あり。友人が大きな荷物を運ばなければならないので助っ人として出かけたのだが、結構離れた街にある倉庫なので、帰りが何時くらいになるか後で電話すると言っていたのだ。開口一番、「11時くらいになると思って安心して、さっきの若くてハンサムな軍人を家に招き入れてるかもしれないけど、残念ながら9時半くらいには帰れそうだから、警告しておく。もしかしたらもっと早いかもしれないからなっ」と一気に話すP。Damn.