東部のイマトラという街へ一泊旅行をしてきた。ヘルシンキから車で5時間とリンクしたサイトには書いてあるが、Pの運転だとそんなにかからなかった気がする。ロシアとの国境のすぐ近く。道すがら、ロシアへ向かうトラックを何台も何台も見た。乗用車を積んでいるのである。高級車もあった。お金持ちが増えてるのね。
カメラを持っていったものの、ホテルへ着いて4,5枚撮ったところでバッテリーが無くなった。そうなりそうだとは思ってたんだが。到着したときはもう6時近く、もうお店が閉まっているという静かな街。結局、ほとんど写真は撮れなかった。
ホテルは街の中心部にあるので、雨の中、散歩がてらに歩き回ったが、この時期はさみすぃーっという印象であった。夏には色々イベントがあるらしい。自然は美しかった。ホテルのすぐそばにダムと川がある。街中なのにダム。
湖がそこらじゅうにあるから、ダムの周りに街を作ったっつーことなのかしらん。川には大きな岩がごろごろしていて、迫力があった。夏場はライトアップをするらしい。こんな感じに。散歩道の傍にある岩には、19世紀にそこに来た人の名前と日付が彫ってあった。「年はあとからいくらでも彫れるじゃん」と感想を持ってしまった私であったが、実際そんな詐欺をすることはないだろう。1983年には、スウェーデンの王様も訪問したらしく、王妃の名前と共に彫ってあった。
ホテルは、ランタシピ・イマトラ・ヴァルティオ・ホテル。歴史あるホテルらしい。2005年にリモデリングをし、ロビーも重厚感があるし、サロンもcozyで素敵であった。スタッフも感じが良かった。泊まった部屋はこんな感じ。

天井も高く、広くてナイスである。小さいバルコニーがついており、そこから川を撮った写真。木があるので川は見えにくいが。

部屋も景色もいいのだが、2005年のリモデルには、トイレやバスルームは含まれていなかったらしい。ふるーいタイル。目地にカビつき。シャワーカーテンもカビ。コップもきれいとはいいがたい。掃除に難あり。日本での清潔なホテルに慣れていると、うひょーと思ってしまった。タオルは清潔だったので良かった。
隣にコンベンションセンターがあり、トンネルでつながっている。そこのサウナとプールを無料で使える。特にサウナのファンというわけでもないし、水着もないのでいかなくてもいいか、と思っていたが、散歩ですっかり体が冷えてしまったし、とはいえ、部屋のお風呂に入りたいとも思えなかったのでPと一緒に行ってみた。それがまたナイス!新しいのだろう。女性用サウナは広々としていた。おまけに利用者は私一人。そして貸し水着もぶらさがっているではないか。貸し水着というコンセプトにぎょっとする人もいるとは思う。まあ、私も自分のがあれば自分のを使いたい。が、アメリカの高校時代、水泳のクラスは学校の貸し水着であったので、ある意味慣れてはいる。えーい、借りてやる、と着替えた。サイズもぴったりである。サウナで一応あったまった後、シャワー室からプールへ。15メートルくらいの小さいプールである。お遊び用。足をつけてみたら、冷水。えっ、温水じゃないの?と驚く。こんな冷たいプールなんて、サウナに入った後だからと言っても絶対無理だわ、とPに言おうと思い、男性用のシャワー室のドアを少しだけあけて、「P?」と声をかける。すぐに「Yeah?」と返事があり、茹蛸状態の彼が現れたのだが、他に数人男性がいるという。ひぃ、失礼しました。「ママが呼んでるぞ」とからかわれたらしい。すみません。
水が冷たいからプールはいやだ、と訴えたが、平気だ、僕は入ると言い、本当に入ってしまった。オーマイガーッ、it's freezingと言うが、いったん泳ぎ始めると平気なものらしい。せっかく何年かぶりに水着まで着たのに何もしないで帰るのが癪で、私もそろそろと水に入った。ひーっ、ひーっ、やっぱりだめ、と途中でギブアップしかけたが、Pに大丈夫だ、落ち着け、と励まされ、なんとか肩まで浸かった。入ったら一気に泳げばいいのだ、と言うので、顔をつけるのがいやな私はとりあえず平泳ぎ。久しぶりだ。なぜかスイスイ泳げてしまった。泳ぐのが好きではない、うまく泳げない、と散々Pに言い続けてきた私であるが、Pは私の姿を見て、"You can swim!"と驚いていた。いや、私もびっくりしたよ。大体、私の平泳ぎはなかなか前に進まなくて、無駄に疲れるばかりだったのに、今回はえらくスムーズに泳げた。なんだか楽しくなって、何度か往復した。次の日は、内腿が痛くて大変であった。
もう一度サウナへ入って、また少し泳ぎ、またサウナへ、という冷熱サイクル。血行がよくなるということだが、サウナでは全然汗も出ず、「サウナの入り方はこれでいいのか」とちょっと悩んだわ。Pみたいに汗だくの茹蛸にならないのだ。ただ暑いだけ。水分だけでも痩せたかったわ。

夜の食事はホテルのレストランで、私はやぎのチーズのサラダとポークを頼んだ。デザートはbaked icecream with merenge on top. とてもおいしかった。食事中、おもしろいというか、呆れるというか、そんな出来事があった。私たちから三つテーブルを挟んだところにスウェーデン系の熟年カップルが座って話をしていた。あまり混んでいなかったし、割と大きな声で話をするのでよく話の内容が聞こえる。とはいっても、私は全然わからないが、Pはそれこそ母国語がスウェーデン語なわけで、途中、フォークを持つ手を止めて、「オーマイガーッ、アンビリーバボー」と目を丸くする。何を言っているのだ、あのおじさんは、と聞いても、「今は言えない。あとで言う」と繰り返すだけで教えてくれない。「こんなレストランで、ましてや奥さん相手に話すような内容ではない話だ。Kayだったら僕を殴ると思う」と言う。そんなに不適切なことなのか。翌日がそのジジの76歳の誕生日らしく、そのお祝いの旅のようであった。Pは彼らに背を向けて座っていたのだが、しばらくしてまた目を丸くして、「おーまいがーっ、あの男はKayのことをジロジロみてるのか」と聞く。そんな感じには見えなかったが、彼の座っている位置から私がよく見えることは確かである。「なに、あたしのことを話してるわけ?」「まあね」そんなことを聞けば、何を言っているのか聞きたいではないかっ。「後で言う」とP。きーっ。「Maybe I should wish him a happy birthday before I go. In Swedish.」と言うと、Pはひーひー笑っていた。デザートを食べ終え、さて部屋に戻ろうか、と二人で立ち上がると、なんとPは、ジジの方に向かって、スウェーデン語で誕生日おめでとう、と言うではないか。私もスウェーデン語がわかるふりをして、ジジ達を見て笑顔で頷いてやった。耳が遠いらしいジジは、突然話しかけられて、Vad?(What?)と言っていたが、繰り返さずに私たちはレストランを去った。奥さんが説明してくれるだろう。
エレベーターの中で、一体ジジは何を言っていたのだ、と聞くと、なんと、私の胸の話をしていたと言うのだ!褒めていたらしい。嬉しくないよっ!私は普通の襟のついたシャツを着ており、ローカットのぴったりしたものを着ていたわけではない。なんで胸に目が行くのか不思議である。そもそもそんな失礼なことを自分のガールフレンドが言われているのに、文句を言いに行かないあんたはなんなの、とPに言うと、そうしようかと思ったのだが、あまりにもアンビリーバーボーなことで、本当に言ったかどうか確かではなくなったと言うのだ。だが、後になって若いウェイトレスのことについても、最近の若者は栄養がいいので豊満であるみたいなことを言っていて、やっぱりそうか、と思ったというのだ。なんちゅージジだ。
わあ、今日はこんなジジのことを書いていて、長くなってしまった。翌日は湖水地方のサヴォンリンナまで足を伸ばした。携帯で写真を撮ったのだが、パソコンへ送るのが面倒でまだ何もしていない。ちょっと忙しいので(なのにこんな長いエントリーをグダグダと書いている)、また後日書く。