昨夜は、Pの会社のサマーパーティーにしぶしぶ行ったわけだが、結局、結構楽しむことができた。
学校のキャンプじゃあるまいし、と最も嫌だったアウトドアアクティビティだが、Pが「参加しなくて良い」と言っていたにもかかわらず、ヴィラに到着したときのスタッフの歓迎挨拶の最後に「じゃ、アクティビティはチームに分かれてやります。はい、端っこのあなたから順番に、チーム1、2、3・・・」とチーム分けがはじまり、有無を言わさず私はチーム6に。まじですか、と思いつつ、チーム1のPとは別れて、初対面の人たちと「チームワークビルディング」的なゲームを行った。用意されていた道具を組み合わせてボールを遠くへ飛ばす装置を作り、飛距離を競うとか(うちのチームのボールは後ろへ落ちた)、ミニアーチェリーとか(チームメンバー4人が持つ8本の矢のうち、的に当たったのは1本だけ)、ボールを点数がついている的に当てるミニゴルフっぽいものとか(これも一人がかろうじて当てたのみ)、まさにキャンプ場のゲームっぽいものをやった。Pの会社は、実にいろんな国の人が働いており、うちのチームもフランス、ドイツ、フィンランドと私で日本という国際チームであった。結果は悲惨だったけどね。
昨日は気温も低く、雨もしとしと降っていたので、戸外でこんなゲームを小一時間もし、結構冷えた。すると、「じゃ、まず女性の皆さん、サウナへどうぞ」とスタッフ。え、初対面の人とサウナですか。それもPの会社の人たち、または社員の奥さんとですか。あたしはいいわ、タオルも化粧品も何も持ってきてないし、と辞退しようとすると、同じチームだったフィンランド在住2年のドイツ人のSさん(以下、ドイツS)が「一緒に行きましょうよ、化粧品とかドライヤーは私持ってきているから使って」と親切な言葉をかけてくれた。Pも、行っといでよ、きっとナイスだよ、と言うし、まだ二十歳くらいのフィンランド人の女の子Sちゃん(以下、フィンS。すでにかなり酔っ払い)も「ビキニを2着持ってきてるから、貸してあげるよ!」とまで言ってくれ、皆さんにそこまで言われて、いやだと言い続けるのも大人気ないというか、party pooperという感じがしたので、ご一緒することにした。
そしてこれがもう、「ザ・フィンランド」という体験だったのだ。まず、このヴィラがあるところは小さな島で、周囲は海である。「サウナの後は、海で泳ごうね」とフィンSは張り切っている。こ、これはテレビで見たことのある、サウナの後に海や湖にひゃっほーいっと飛び込むってやつですかっ。「でも、私、水着ないし」と言うと(フィンSちゃんは細いっ)、社員の奥さんだという40代のフィンランド人Aさんは、「水着なんて着なくて大丈夫。私は裸で行くわ。大体、水着でサウナなんて暑すぎるわよ。タオルを巻いて海まで行けばいいのよ」と豪快。ドイツSさんもそうするというし、他の女性社員の皆さんも「そうね、裸でいいよね」と実に自然である。ならば、郷に入っては郷に従えだわ、と私も皆さんに倣うことにした。
わいわい言いながら裸になり、サウナへ入る。4畳半くらいの広さだったかな。はしごを上って二階席へ。みんなで一列に座り、Aさんが、「水をかけるわよ、準備はいいわね」と柄杓に水をすくって、あっつあつに熱された岩へバシャーンと何度かかける。サウナが蒸気で一杯になり、「ひー、あつーっ」と、外国出身の私とドイツSさんだけ叫ぶ。他のフィンランド人の皆さんは、「まだまだー」と強い。
蒸気が収まり、暑さにも慣れると心地よい。冷たい飲み物片手に話も弾む。フィンSちゃんは、「Pはどんなボーイフレンド?」といきなり答えにくい質問。「いやー、どうっつって、わはは」とごまかす私。「Pはとっても厳しいボスだけど、私生活も厳しい?」と聞くので、「まあ、あたしも厳しいんで、結構喧嘩になると大変よ」と思わず本気で答えたりして。「でもお馬鹿も言うし、他の男性と同じでベイビーなところもあるしね」と言うと、皆さん「うんうん」と頷いていた。他の男性よりもベイビーだと思う、とは、Pの上司としての威厳も考慮しだまっていた。
「そろそろ海へ行こう」と誰かが言い出し、気温10度くらいの中をバスタオル一枚で、みんなで歩いて行った。サウナで十分温まっているので寒くはない。「わー、こんな格好で外を歩くって、なんか解放された気分〜」と私は自分の姿に笑った。大体、サウナから海までの道は、決して他から見えない場所ではないのだ。外でダーツだとかして遊んでいる男性陣からも見えるのよ。だが、海についたら、フィンSちゃんもドイツSさんも、いきなりタオルを取って、うっほほー、という感じで飛び込むのである。えー、いくらなんでも水は冷たいだろうに、と私は足を恐る恐るつけてみる。冷たい。フィンランド人の人の中にも、「あたしは入らないわ」と言っている人もいるくらいであった。だが、せっかくここまで来たのに、海に入らないのはもったいない感じがする。でも、髪を濡らしたくないというのと、そもそも飛び込みなんて水が怖くてできない私なので、ばっしゃーんと入る勇気はない。ふと丘の上のヴィラの方を見ると、Pの姿が見えた。手を振ったら、振り替えして「ジャンプインしろーっ」とかなんとか叫んでいる。そう、ちゃんと私だと認識できるくらい、見えているのだ。あんた、部下の裸も見たのか。(後で聞いたら、遠く過ぎてちゃんと見えるわけじゃない、とのことであったが、うーむ。)
海を見ると、Aさんともう一人のフィンランド女性は、すんごい遠くまで平泳ぎで行ってしまっている。すごい。あんなに泳げたらいいな、と本気で思った。私もやっぱりちょっと入ってみよう、と桟橋についている梯子を伝って入ってみた。うひゃー、ひやっこい。ちょっとは泳いでみようか、と少し梯子から離れたが、どれくらい深さがあるのかもわからず(水は濁っていて茶色っぽい)、泳ぎにも自信のない私はちと怖くなってすぐにまた桟橋に戻り、水から出た。「入らないっていってたのに入ったのねー」とドイツSさんにほめて貰った。しばらく桟橋の上で涼み、「さ、またサウナへ行くわよ」とみんなで戻った。戻った後、もう一度海へ行ったが、今度は私は桟橋に座って、足をばしゃばしゃつけただけ。その後、またサウナへ戻って、シャワーを浴びた。シャワーと言っても、ちゃんとした設備があるわけでなく、でっかい桶二つに熱湯と水がそれぞれ入れてあり、洗面器で汲んで使うというもの。ドイツSさんは、「やっぱりあたしは電気や水道が来ている環境が好き」と苦笑していた。あたしもかも。
女性陣がサウナから撤退した後は、男性陣が使用。ヴィラのデッキから、皆さん海に飛び込んでいる姿が見えたよ。
サウナに行かなかったドイツ人社員が3人いて、「ドイツでも裸になるビーチもあるし、サウナ自体に抵抗があるわけじゃないけど、上司がいるところで服を脱ぐなんて考えられない」とその中の女性が言っていた。まあね、ごもっともである。しかし、誰も気にしてないんだよね、フィンランド人は。
Pは、素直に私が初対面の人とサウナに行ったことも結構驚いていたらしく、おまけに海にまで入ったと聞いて、さらに驚いていた。私も自分に驚いたよ。酔っ払ってたわけでもないのにね。
その後、シーフードのビュッフェのディナーがあった。ラトビア出身のAさん(男性)と色々話をした。酔っ払っているのか、もともとお馬鹿なことをよく言う人なのかわからないのだが(両方かもしれん)、延々といろいろ話をしていて、ちょっと困った。
インドから先月来たというGさんは、あと2、3ヶ月で奥さんとまだ赤ちゃんの娘を呼び寄せることができそうだ、と写真を見せてくれたりした。(すげー美人の奥さんと可愛い赤ちゃんだった。)海外で働くのは初めてだが、フィンランドは安全だし、とても居心地がいい、と心底楽しげであった。でも欲しいスパイスがなかなか手に入らない、と言って笑ってた。
サウナと裸で海、もおもしろかったが、こういう風にいろんな国の人と話が出来たのも楽しかった。
帰りは、かなり酔っ払ったPに私が本気でむかつく、という展開になり、おそらく我々からは険悪オーラが発散されまくっていたと思うが、一応皆さんには笑顔でおやすみを告げ、帰路についた。
今朝、Pは謝ったので許してやった。