病院の待合室で週刊誌を読んでいたら、瀬戸内寂聴が答える悩み事相談があった。37歳の女性が、隣に住む一人暮らしの80代のおばあさんと仲良くなりたい、挨拶だけでなく、家にあがって話ができるようになりたい、どうしたら仲良くなれるか、と相談していた。寂聴さんは、およしなさい、一人暮らしだから寂しいとは限らない、家にあがりこんでまで話がしたいなど、発想が幼稚、あなたは幼ない、おせっかいはよせ、というような返事で、最後に「暴言ごめんなさい」と書いてあった。毎度のことながら、彼女の口調にはすっきりするわ。
対象がお年寄りに限らないが、例えば、一人暮らしは寂しいだろうとか、失恋したばかりの人が一人ではつらいだろうからとか、親切なのはわかるのだが、とにかくおせっかいで、ほっといてやりーな、と言いたくなるほど人をかまう人を私も知っていた。「大丈夫か大丈夫かと電話がうるさい」と失恋した女性は私にもらしていて、そういうもんだよなあ、一人でつらいのを乗り越えたい人もいるわけだしなあ、と気の毒だった。
本当に純粋に親切で、ただ、相手が何を求めているか察するのが苦手な鈍い人、という場合もあるだろうが、「私があの人を救わねば」という使命感に燃えている人はもっと面倒である。傲慢だからね、こういう発想の持ち主は。