年を取ると足腰が弱くなるとはよく聞く。若いときには想像もつかないが、思いもよらないときにころんでしまったりするらしい。母の学生時代からの友達がバスの中でころんで大変な状態だと言う。それも友達二人、それぞれ別の国での話である。
一人はニューヨークに住む友達Rさん。立っていたらしいのだが、いきなり発車したためころび、脳震盪を起こして救急車で運ばれたらしい。病院で今日はこの検査、明日はこの検査を別の専門家に、と、ただでさえ動くのが大変だというのに、ほぼ毎日病院に行かなくてはならないらしい。バス会社を訴えられないのか、とカナダに住む母とも共通の友達Sさんが聞いたらしいのだが、ニューヨークなんてたくさん訴訟がありすぎて、こんなの相手にされないわよ、と言っていたとか。少なくとも、治療費はちゃんとバス会社が出してるといいんだけど。気の毒すぎる。
SさんがRさんのことをえらく心配して母に国際電話を何度かかけていたらしいのだが、今度はそのSさんが同じくバスの運転手の乱暴な発進でころんだらしい。仕事で行った町で、降りる停留所がわからないので近づいたら教えてくれ、と運転手にお願いしたら、「OK」と言うやいやな急発進し、立っていたSさんはそのままひっくり返って頭を強く打ったとか。たまたま医療従事者がバスに乗っており、救急車が来るまでとにかくSさんを質問攻めにして話をさせるようにし、意識を失わないようにしたらしい。質問されているはわかるのだが、もうこのまま死ぬんだろうなという思うくらい頭が痛かったとか。
そして救急車で病院に運ばれたのだが、そこのスタッフがまた役立たず。頭を手で触るわけでもなく、症状を聞くわけでもなく、単にMRIを撮っただけで「異常はないので帰ってください」と言ったそうな。割れるように頭が痛いし、帰れるような状況ではないと伝えても、でも写真には何も写ってないので帰れの一点張り。結局、そんな状態で飛行機に乗って住んでいる町に帰り、すぐに地元の病院に行って診察してもらったところ、そのドクターは「内出血を起こしているし、分泌物が出てきていて、髪が湿っている部分がある」と指摘。耳やまぶた、首の方まで、内出血で黒っぽくなってきているとか。そんな恐い、と私は思うが、それでも入院はしていないSさん。主治医に週明けにフルチェックをしてもらうらしい。バス会社と適切な処置をしなかったドクターたちを訴えることを考えているそうだ。ひどい話。
若ければ、ちょっとよろけるくらいですむという場合もあるだろうが、やはり客が座るまで待つなどの配慮は絶対に必要だよなあ。以前、おばあさんが座るまでずっと鏡で見ていて、「よろしいですか。発車します」と一言言ってから発進するという運転手のバスに乗ったことがある。一度は、なかなか座らないお年寄りにすんごい感じ悪い言い方で、「早く座ってくださいね。発車できんでしょう」とイライラしながら言った運転手も見たことがある。まあ、だまって発進するよりいいのかもしれないけど。
やっぱり、優先席に若いもんが座ってちゃいけないよな、と思うわ。