早朝、電話が鳴る。呼出音はP。寝る前にコードレスを枕元に置いておくのを忘れ、朦朧としながら親機までふらふらと歩く。"Hello." "It's me!" わかっとるわい。出張先のサンクトペテルブルグに着いたという。明日行くのかと思っていたので、ちょっと意外。こんな最低な町は初めてだ、と怒っている。私は椅子に座り、背もたれに頭をのせて、"Oh?"と返事をする。「なんだか疲れてるようだけど、今、朝8時前じゃないの」とPは言うが、時計が近くにないので何時かわからない。"Maybe. I don't know."とぼやーっとしたまま返事。8時にしては外が静かだし、私もここまで目が覚めていないということはもっと早い時間では、と思うが、考えるのも面倒。"Well, anyway,"と如何にサンクトペテルブルグが最低であるかをまくし立てる。空港からのタクシーは通常料金の3倍以上でぼったくろうとし、ホテルはインターネットがあるとフロントは言うのに部屋のどこを見てもそんなものはないし、それでも一晩107ユーロ取る、とお怒りである。そりゃ、怒るのも無理はない。外国人観光客相手のぼったくりが横行する町というのは、やっぱりいやだね。建物は確かに美しいが、治安は悪いし最低だ、とのこと。
エルミタージュにも行ってみたいし、いつかは訪れてみたいと思っていた町だが、個人旅行ではなんだかしんどそうだな。経済的なことが理由でぼったくりや犯罪が起こるということも大いにあるだろうが、「二度と来るか」と思わせるだけで、まったくもってロシアにとっては損なことなのになあ。そんなこと気にしなくていいくらい、大勢の観光客=カモが次々に訪れるのだろうか。
くれぐれも気をつけるように、と言って電話を切った後、親機の液晶の時計を見たら、6時前だった。世界の時間がわかる時計をプレゼント決定。あたしが睡眠障害になる。100円ショップに売ってるかな。