一ヶ月前はクリスマスイブであった。ヘルシンキに滞在していた私は、そりゃーもうひっさしぶりにクリスマスらしいクリスマスを過ごした。教会に行ったのである。驚愕である。私が礼拝に。
大体、教会に行くつもりなどなく、Pと散歩に出かけたのである。ヘルシンキでは、「休暇で留守にするから使っていいよ」とPの知り合いの超広いアパートに泊まらせてもらっていた(180平米=54坪 すげー)。そこからすぐ近くにテンペリアウキオ教会という、別名ロックチャーチと呼ばれる岩をくりぬいて作ったおもしろい教会があった。
Pが「見てみる?」というので建築物として見てみようと軽い気持ちで入っていくと、中年女性がプログラムを配っている。一瞬二人とも立ち止まったのだが、笑顔で婦人は私達にプログラムを渡してくれた。「ま、ちょっと座ってみるか」と、二人ともコートを脱ぎ、一番後ろに座った。
岩がむき出しというのがおもしろい。"the ceiling is made of copper"とガイド役のP。夕方4時くらいに行ったのでもう外は暗かったが、日が差すとまたきれいなんだと思う。
次々と礼拝に訪れる人が集まってくるのだが、皆さん正装。Pと私は「近所に散歩」のジーパン姿。「いいのかな、こんな格好で」と言う私に、プログラムを見ていたPは、「ここで献金があるからその前にずらかろう」と提案。「あんたね」「いや、ユーロ持ってないんだ。ドルしか財布にない」と数日前にアメリカ出張から帰ってきたPは言い訳する。私は財布を持ってきていない。あくまで近所の散歩のつもりだったのよ。
そんな不真面目なことを話していると、パイプオルガン奏者が演奏を始め、牧師さんが出てきた。「これ、スウェーデン語の礼拝だからね」とP。ヘルシンキスウェーデン系の人の集まりらしい。「英語と似てるところがあるから、聞いててわかるだろ」と言うが、「わかる」と肯定できるほどわからんがな。ときどき単語がなんとなく英語っぽいなと思うだけで。ただ、主の祈りのときは、それと気付いた。英語の主の祈りと調子が同じだった。って、英語で主の祈りがちゃんと言えるわけじゃないんだが、アメリカの高校三年間ほぼ毎日礼拝で聞いていたので、耳は慣れているというか。それをすぐに思い出すくらい似ていた。
賛美歌は、「おお、知ってる知ってる」というやつだった。でも言葉がわからないし、英語の歌詞も忘れたし、メロディだけhumした。途中は「きよしこの夜」も歌ったが、これも英語も日本語も途中までしか覚えてなくて(だって全部のverseを歌うんだもの)、これもhum.
途中で抜けるという雰囲気でもなかったし、そのまま座っていると献金の袋のcirculationが始まった。どうすんの、とPを見ると、財布の中身をチェックしていたPは「あ、10ユーロ札みっけ。これ渡して」と、無事献金
結局礼拝が終わるまでいた。牧師さんが何を言っているかは全然わからなかったが、クリスマスの礼拝の雰囲気が懐かしくて、良い気分であった。
教会を出た後、雪の降る中また散歩を続け、結局1時間以上歩き回って帰宅。日本では、「そんな寒い中、散歩なんぞしなくても」というような天気であったが、あちらの皆さん、結構歩き回っているのである。慣れるのよね。
こんな感じで、しっかり運動もし、真っ当なクリスマスを過ごしたのであった。