いくら動物が好きと言っても、元来動物を飼ってはいけない種類の人間がいる。他人に迷惑をかける飼いかたなど言語道断だが、それよりも飼われる動物にとって大迷惑なやつがいる。そんな女を知っている。

この女は、自分の食べるラーメンの汁を飼い猫が飲むことを許し、塩分過多で腎臓を悪くした猫はそのまま死んだ。「いつもあたしが食べてると、欲しがったのよ」と言う。「ちょいちょいってね、こうやって腕に手をかけて、ちょうだいって顔して、テーブルにのぼってくるの」と、その可愛さを笑顔で説明するその女には、結果として自分がその猫を殺したという自覚はまったくない様子である。こういうおそろしく鈍くて判断力のない人間に飼われてしまった猫は不幸としか言いようがない。

そもそもこの女は、息子が幼い頃、カルピスを入れた哺乳瓶を常にくわえさせ、生えたばかりの乳歯をぼろぼろにしたことがある。「おいしいって喜んでたのよ」と言う。喜べばなんでも与えるバカな親。結局、カルピス以外にも欲しがるものは何でも与えて育てたため、この息子は性格もぼろぼろになって成人してしまった。

現在62歳になるこの女は、30をとうに過ぎた肥満気味の息子のトーストに毎朝バターを塗り、パンツを洗ってやるのが生きがいであるようだ。

百万光年くらい離れたところで暮らして欲しい、こいつら。