この1年間、母親が日本語教師養成学校に通学している。途中、都合で何ヶ月か休んだようだが、来週行われる試験に合格すれば修了らしい。73歳である。71くらいで完全退職したと思ったら、いつのまにかこんなことを始めていた。宿題の量が半端ではなかったらしく、実家に行くといつも机に向かっていた。今は試験勉強に大変らしい。彼女は大学卒業後、1953年だったかにアメリカの大学に留学してさらに学位を取っているのだが、この1年を振り返って、「こんなに勉強したのは、留学したとき以来」と言う。この一言を聞いて、そんなに勉強しなきゃいけないようなことに、怠け者の私は挑戦できないと思った。彼女がアメリカで勉強した量と私のそれとは違うかもしれないが、私はあれをもう一回しろと言われたら、いやー、ちょっと勘弁してくれ、と言いたい。*1
一体、私はこのいつまでもstudiousな母の本当の娘なのだろうか。おまけに、「これが終わったら、4月からまた何かしたいわ」と言っていた。「ここまで大変なのはもういいけど、何かしたい」のだそうだ。I must have been switched at the hospital when I was a newborn. I'm sure of it.

昔、留学時代の母の失敗談を聞いたことがある。「行ったばっかりで言われてることが聞き取れなくて、LもRもよくわからなくてね。寮のルームメイトに、ブラジャーを持っているかって聞かれたんだけど、ブラなんとかとしかわからなくて、ブラならブラウスのことを言ってるのかな、と思って、袖の長いのなら持ってるって答えたの」
そのルームメイトは、さすがに通じてないと理解したらしく、自分のを引き出しから出して見せ、母は爆笑してしまったらしい。よかった、そこでルームメイトが気づいてくれて。日本には袖の長いブラがあるのかと信じられても困るし。

私にはこういう笑える失敗談が無い。つまらんなあ。

*1:と言いつつ、ときどき「あー、またintenseに何かを勉強したいっ」と発作のように思うことがあるが、同じく留学していた知り合いに「あれをまたするの。忘れたの、あの生活を」と言われ、「そうだった」と思い出してぞっとするのであった。