私は○ースウェスト航空が死ぬほど嫌いである。安かったから選んだのか、マイレージがたまったから乗ったのか忘れたが、嫌いといいながら、国際線も米国国内線も結構な回数乗っている。で、毎回いやだと思う。一度だけ乗ってよかったと思ったのは、プリンスに会ったとき。DCからLAまでの便で、私は出口のすぐそばに座っていたのだが、着陸したあともなかなかドアが開かない。なんでだろうと席で待ち続けていると、ファーストクラスの方からごっつい男の人が出てきて、その後にほっそーい小柄な男性が続いて出てきたのだ。妙なシースルーのようなブラウスにじゃらじゃらとジュエリーをつけて、「変な人ー」と思って顔を見たらプリンスだった。目があうと、彼はにっと笑って、こちらもつられてにっと笑った。感じよかった。

それ以外は不快な経験しかない。主な原因は客室乗務員にある。"If you can't take it, quit the job!"と言いたくなるような態度の厚化粧・香水つけすぎの下品な彼女たち。日本のようにこの職種が憧れの対象などでは無いアメリカらしい人選。

そんなノースワースト航空のアメリカ行きの便で、数年前おもしろい経験をした。私はいつもどおり通路側に座り、隣には日本人の若い女性が、その隣にはその上司のような中年男性が座っていた。関空を飛び立ち、機内アナウンスで通訳のなんとかが乗務しているので御用の際は声をかけてくれ、などと言っていた。なんとかさんの名前を忘れたので、便宜上、高橋さんと呼ぶ。もっと珍しい名前だったのだが記憶にない。で、しばらくして、その高橋さんが通路を歩いていたとき、私の隣の女性が「高橋さん」と声をかけた。高橋さんは足を止め、「あ、どしたん、久しぶりやねえ!」と驚く。知り合いだったらしい。「やっぱり高橋さんやったんやねえ。名前が珍しいからそうやないかと思ったんよ」とやり取りしている。そのときは「また後でくるわ」と高橋さんは去っていった。

その後、高橋さんはNWの備品を持ってきて、「これ、つまらんもんやけどどうぞ」と隣の女性に渡し、通路側に座っている私は存在しないかのようにおしゃべりを始めた。「お仕事でアメリカいかはるん?」とかなんとか言い(関西弁がaccurateではないかもしれない)、会議があるのだと女性は答えていた。「立派にお仕事してはるんやねえ」と高橋さんは感心する。「ううん、そんなん大したことないって。高橋さんこそ、ノースにお勤めなんやねえ」と女性が言うと、高橋さんは「でももう、わたしやめたいねん。」とはっきりと言い放った。ここで私は「なんとおもしろい会話だ」と集中して聞いている。「もういやになってん。」とため息をつきながら、本当にいやそうに言う。女性も「そうなん?」と気の毒そうに返す。「どっかええ転職先あったら教えて。あ、もういかな。じゃ、また後でくるわ」と言って、手を振って行ってしまった。周辺の日本人客全員に聞こえただろうな。よっぽどいやだったんだろう、仕事。客にも社員にも嫌われる会社か。高橋さん、今はどこにお勤めかしらん。

もっともぶっとんでいた客室乗務員は、この高橋さんのフライトの後に乗った国内便で出会った。到着した国際空港から同じ州内の別の空港へ飛ぶ30分くらいのフライト担当のLaura(実名)である。小さい飛行機なので、客室乗務員は彼女一人。私は不幸にも最前列に座ることになった。日本から長時間の旅を続けていた上、大体来たくもなかった旅なので(詳細は省く)、私の機嫌は良くない。目を閉じて眉間に皺をよせて、ああ、腹立つ、なんであたしがこんな疲れる思いをしてこんなmiddle of nowhereまで自分で旅費を払って行ってやらないといかんのだっなどと考えていた。離陸の準備が整うと、いきなりものすごい早口でLauraが私の顔の近くで何かをまくしたてた。驚いて目を開けると彼女の顔が目の前にある。"Excuse me?"とI made sure she understood I was offendedな言い方で聞き返すと、また早口で何かを言う。だが、飛行機のエンジン音とプロペラ音で全部は聞き取れない。emergencyのときに何かhelpをしろと言っているらしいことはわかったが、何をしろといっているのかが聞こえない。するとLauraは、"Do you speak English?!"と機嫌悪そうに聞くではないか。"I probably have a bigger vocabulary than you do, stupid f**k."と言いたいくらい不機嫌だった私だが、そこは抑えてI snorted and said "Yes. I just couldn't hear what you were saying because of the engine noise."と答える。"Oh, OK. Anyway,"とまた彼女は同じemergencyに関することを繰り返し、面倒なので私は"Yeah, yeah."と答える。その後、彼女はマイクを取り、"ladies and gentlemen, welcome to NW flight number..."などとまたものすごい早口でまくしたてる。早口で言えば、頭の回転が速いと思われると勘違いでもしているのか。非常口がどこにあるかなど説明するが、客がそれを理解するかどうかなどはまったく興味はなく、弾丸のようにしゃべりまくった後で"Thank you."と言ってマイクを置いた。

そしてその30分あまりのフライト中、彼女は最前列に座っている他の客とずーーっとおしゃべりをしているのである。客もなんでこんなbimboを相手にするのかわからないが、皆さん実に寛容である。おまけに話の中身は恋愛問題。疲労している私は休みたいのだが、大声で彼女たちの恋愛談義は続く。男性客の一人が、"My ex-girlfriend married my best friend. They live in Japan now."と言うと、Lauraは、"OH MY GAAAAHD! ARE YOU SERIOUS? Your ex-girlfriend married your best friend?! And they live in Japan now?!"と叫ぶ。"That' what he just said, you eternally stupid bitch."と思いながら、私は歯を食いしばる。そして彼女は自分の恋愛問題を語り始めた。

"You know, I went out with this guy Mike the other day? He used to date my best friend, Linda. I mean, it was kind of weird, you know? I don't want to ruin my friendship with her, but me and Mike kind of hit it off, you know. It's not like I stole him from her. They were't dating any more, you know. But like I said, I don't want to ruin my friendship with Linda, so I don't know if I should go out with him again."

Oh, life is so hard, isn't it, Laura? そしてこの女は、この調子でずうううううっとしゃべり続けるのである。パイロットが着陸準備に入るというアナウンスをしている間もである。 アナウンスが終わった直後、彼女はだまり、コックピットの方を指差し、"Did he just say we are landing?"と私たち客に聞いた。We nodded, and she picked up the radio or microphone or whatever it is called, and again, spoke incredibly fast about fastening the seatbelts securely and all that. 着陸の最中も、"And then me and Mike went..."とデートの話は続く。THE MOST unprofessional flight attendant I ever met. まあ、こんなだから、30分もかからないフライトの担当にしかなれないのだろう。リンダとの友情は壊れた、に100円賭けるね、あたしは。