蕁麻疹の漢方の追加をもらいに、A先生のところに行った。ついでに小指のシモヤケのことも伝えた。ふむふむと聞きながら、「こういう赤い軟膏があるんですが」とデスクの上にある容器のふたを開ける。いやー、恐いよ、その赤。でもなんだかなつかしい。むかーしむかしに見たことがあるような気がする。「あれ、なんだかなつかしい感じ。」と言うと、「お、ご存知ですか。これは華岡青洲が作ったんですが」とまた華岡青洲登場。「そりゃふるいですね」と余計なことを言うあたし。いや、that particular jar of ointmentを華岡青洲が作ったと言っているのではないことは承知していたのだが、するっと口から出てしまったのだ。シモヤケ、ひび割れ、アカギレ、やけどなどに効果があり、漢方では有名な「紫雲膏」(しうんこう)という軟膏らしい。「こういうふうに少量とってすり込んで」と自分の小指に塗る先生。あたしの患部につけてくれるんじゃないのか。要は血行を良くするので、肩こり、冷え性にも効果はあるだろうとのこと。乾燥した背中に塗ってもOKらしい。塗りこんでしまえば赤いのは残らない。「何が赤くしているんですか」と聞くと、紫根だとのこと。着物の「江戸紫」という色も紫根からとるのだ、との豆知識も教わった。先生は小指をさすりながら「「もうポッポッと暖かくなってきました」と笑う。でも先生の手は、いつもカイロみたいに暖かいし。

帰宅してふたを開けてみると、甘ったるい匂いがする。ちょっと苦手、こういう甘いのは。鼻に近い肩に塗るのはやめた。香料が入っているわけでもなさそうなのだが、何の匂いだろう。早速小指に塗ってみたが、量が多いとやっぱり少し赤くなる。そんなにすぐに変化は感じなかったが、少ししてイジイジ痒くなった。暖かくなったということなのか。効くかもしれない。