Smile from the past

矯正装置をつけてから、犬歯のブラケットが邪魔で、にっと微笑んでも唇が横に広がるだけで、中途半端な微笑みにしかならない。おまけに最近歯並びが揃ってきて、口元全体が以前より出てきたようで(抜歯前ゆえに)、微笑むとアヒルになる。私に初めて会うひとはきっと何も思わないくらいのレベルであるが、前の顔を知っている人は、あら、ちょっと違う、と感じると思う。No more archaic smile for me for awhile.
実家の91の祖母は、本も新聞もよく読み、身の回りのことは自分でできる健康な老人ではあるが、物忘れは激しい。私の口元を見るたびに「まだ矯正してるん?口の中にそういうものがあると気になるでしょうが。」といつもの台詞から始まり、「あと2年以上はつけてるよ」というと、毎回初めて聞いたように驚く。先日はそれに加えて「それつけてると口元がやっぱり出る感じね」という新しいコメントが出た。Aren't you observant, grandma.
「微笑むとアヒルになるのよね」と母に言うと、アヒル、というのがえらく気に入ったようでくつくつと笑い、上の犬歯のブラケットが口元を膨らませて見せている、という観察結果の報告を受けた。まさに。
大きく笑った顔を少し離れて見ると、ブラケットそのものは白いから目立たないのだが、白いからこそ犬歯のブラケットが歯のようにも見え、歯が平面的に並んでいるように見える。獅子舞。
Pに送る写真を探していたときに気づいたが、矯正装置をつける前までの数少ない最近の写真は、すべて口を閉じてにっと微笑んでいる顔ばかりであった。引き出しをひっくり返したときに見つけて笑ってしまったのが、大学のIDカード(画像)。私の経験では、アメリカで証明写真を取るときに真面目な顔をしていようものなら、カメラマンが「Come on, show me the smile」などと言って、笑顔にさせる。このIDを撮るときも例外ではなく、このビッグスマイルである。犬歯もまだ尖ってるし、前歯の並びもそう悪くないじゃないか。あー、time is cruel, isn't it...
で、犬歯のブラケットに唇が当たらないように、今はこういう風にニカッと笑うしかない。
あたし、結構Dali髭が似合うじゃない。