地デジ化に伴い、父がばあ様のテレビを買い換えた。以前のものはブラウン管の古いもので、20年以上使っていた。ばあ様は「前のテレビでもきれいに映っていたのになぜ買い換えたのか」とおもしろくない模様。何度も地デジの説明をし、本人も新聞記事を読んで、「んまあ、1円や2円で買えるものでもないのに勝手に国民に負担させて」と、毎回理解するのだが、すぐ忘れる。
この間も「地デジって何」と聞くので、「地上デジタル放送のことでね」と説明を始めたら、「ああ、デジタルのことね」とうなずく。すごいぞ。

母が言うには、鍼灸師がばあ様の部屋に入って「新しいテレビいいですね〜」と言ったとき、「私は新しいものは嫌いです」ときっぱり言ったらしい。「どうしてですか」と聞かれ、「操作がわかりませんから」と答えたということで、やはり新しいものに慣れるのは、98歳のばあ様には負担のようである。主電源とリモコンの使い方は、前のテレビとほとんど変わりはないのだが、「新しい」というだけで恐れてしまっているようである。

テレビだけではなく、冷蔵庫も新しく買ってもらったばあ様である。母が、「なんだか冷え方が悪いみたい」と言うので、試しに冷凍庫で氷を作るべく製氷皿を入れておいたのだが、翌朝になってもうっすら表面だけ凍っているだけという状況であった。もうばあ様は料理をしないので(本人はしたがっているが)、パンと野菜ジュースくらいしか入れないのだが、まともに冷蔵しない箱に電気代を使うのもばかばかしい。両親が電気店に行って、似たような冷蔵庫を買ってきた。冷蔵庫は別に操作の必要はないので、ばあ様も不満はないようである。届けられた日だけ、「前のでも良かったのに」と繰り返し言っていたが、それ以降は一言もコメントはなく、だまって使っている。

心底うらやましい、新しい冷蔵庫。あたしのはもう18年くらい使っている。ときどき冷蔵部分も冷凍してしまうおちゃめなやつだが、コンセントを1日抜いておけばまた機能してくれるので、結局使い続けている。ばあ様のピカピカの冷蔵庫を見て、新しいパソコンよりも冷蔵庫が欲しいと思った私であった。いや、買わないけど。