マサイの恋人

マサイの恋人

日本のアマゾンにはDVDがないので、邦訳されている本を貼っておく。
旅行でケニヤを訪ねた27歳のスイス人の女性が、そこで出会ったマサイ族の戦士に一目ぼれし、妻になって村で暮らす話。実話に基づいているらしい。この本はその自伝。
いやー、何かといらつく話の展開であった。本は日本のアマゾンで絶賛されているが、DVDとは話の内容が違うのか?愛のためなら生まれ育った環境とはまったく違う価値観の中に身を置く勇気ある女性、うっとり、とか、そんなヒロイン像が描かれているのだろうか。同じ国同士の人だって、ろくに知りもしない男と結婚する人はそうおるまい。映画では、女性の無知さ(bottomless naivete)、無謀さ、判断力の無さ、人んちに押しかけておいて自分のやり方を通す傲慢さなどが目立って、甘いよあんた、甘すぎると私はイラつきっぱなしであった。ちなみにPはもっと激しく批判していた。
そりゃさ、全部100%マサイのやり方にあわせなければならないなんて言わない。でも、実際はどうだったのか知らないが、映画で見る限り、もうちょっとマサイの生活を尊重した暮らし方は出来なかったのかと感じるわけよ。大体、女性が虐げられているとか、女性の割礼が残酷だとか、医療が整ってなくて妊婦が死んじゃうとか、スイスのお嬢さん、勉強不足過ぎ。
車を買ったり、店を開いたりするのも、村の人にとっても便利になったところはあるのかもしれない。15歳の少女に割礼なんて、そりゃ酷いと私だって思うさ。でもなあ、映画での印象は、彼女はethnocentricな感じで傲慢なのだ。ただの頑固とは違う。地元に長く住む欧州人の牧師が、現地の男性と話をするときは目を見て話すな、誤解される、と忠告する場面があるが、「そんなつもりはないから平気」みたいな返事をする彼女。勝手にしてろ。結局こういう態度が、夫婦の危機にもつながる。
結末も「やっぱりね」としか言いようがない。
マサイの生活や価値観を垣間見ることができたということでは、おもしろかった。夫役を演じたJacky Idoもかっこいい。彼みたいな戦士なら、どこまでもついていくってか。この人どこかで見たなと思っていたら、先月見たタランティーノのInglorious Basterdsに出ていた。フランスの俳優である。