祝、父の日。Mちゃんから朝9時に来ると連絡があり、Pは「寝たふりをする」とのこと。子供がベッドまで朝食を持っていくのが伝統的な「感謝の意」の表し方らしい。だが、この家にはベッドで食事が取れるようなトレイがないので無理。大体、それじゃみんなで食事取れないし。
Pは既に起きて新聞を読んだりしていたのだが、Mちゃんが来る前にまたベッドに戻って、嘘のいびきをかいていた。私とMちゃんはヒソヒソと話しながら、パンケーキやフルーツの用意。今日はシャンパンつき。豪勢だ。
私がパンケーキを焼いていたら、寝室から「ケーーーイ、ケーーーイ」とPが呼ぶ。寝たふりしてなきゃだめじゃん、と思いながら、寝室のドアを開けると「Do you need help?」と聞いてくる。「No.」と答えると、「I'm bored.」とすねている。自分だけ一人でいるのが気に入らないらしい。こらえ性のないやつ。寝てなさい、と言い、私は台所へ戻る。
Mちゃんが、食用ホウズキをボウルに盛る。私は初めて見た。食用のホウズキがあったことさえ知らなかった。
さんざん食べた後なので少なめだが。
かわいいオレンジ。
すっぱ甘くて、ちょっと苦味もある。フィンランド語では、ananaskirsikka(アナナスキルシッカ)というらしい。直訳すると「パイナップルチェリー」となる。interesting.
私はホウズキがお初だったが、Mちゃんは柿がお初であった。りんごと梨をあわせたみたいな味だと言って、気に入っていたようだ。一個持って帰ったし。スペイン産の柿には種がない。食べやすくていい。
Mちゃんは、父の日おめでとうカードを作って持ってきていた。日本の漫画のようなイラストつき。なかなかうまい。すっかり漫画少女になっている。漫画を描くペンも買ったらしい(サクラ製だと言っていた)。本格的だ。
私も小学六年のときに漫画を描いて学校に持っていったことが何度かある。なんといっても代表作は悲劇「明日への明日香」だろう。明日香はある日いきなり倒れ、余命1週間だと言われショックを受ける。その後の詳しい展開を覚えていないのだが、読んだ友達の「あと一週間で死ぬんなら、もっと早くから入院してないとおかしい。それにあんた、一週間の間の字が「問」になっとる」との鋭い指摘に爆笑したことはビビッドに覚えている。
ということで、Pはご機嫌な父の日であった。