Pの叔母さんVさんの家でお昼ご飯。2年前の10月にお邪魔したときよりは、「たくさん家のimprovementsがあるでしょう!」と笑う。2年前は井戸も使えなかったし水道もなかったが、それ以降、上水道から水を持ってくる配管工事をしたらしい。その水がまたあなた、冷たくておいしいのである。ガラスのボトルに入れると表面にすぐに水滴がつくのである。私はてっきり冷蔵庫でボトルごと冷やしていたのかと思っていた。
しかしこの家、上水道はあるのだが、下水道がないのである。浄水施設を設けるのもお金がかかるし、そう簡単なことではないらしい。トイレは家の外にあり、トイレットの蓋をあけるとそこはすぐに地面、というナチュラル様式である。ポータブルトイレが家の中にあったものの、私がこれを使うのは憚られる(だってあとの始末がさあ)。ナチュラル式のトイレは、なかなか解放的な気分にさせてくれる。
クミンシードを振ったジャガイモのスライスと丸ごとオーブンで焼いたエシャロットを添えたポークカツレツ、サラダをご馳走になった。丸ごと焼いたたまねぎがこんなにおいしいものとは。デザートには、Pに日本から持ってきてくれと頼まれていた恒例、たねやの五六あわせ。黒砂糖シロップは慣れない人にはチャレンジングかと思ったが、フィンランドでも使うわよと棚から袋を持ってきて見せてくれた。「いつ買ったか忘れたくらい古いから硬くなってるけどね」と豪快に笑うVさん。何もかもが豪快で相変わらずかっちょいい。梅味よりも黒砂糖の方が好きだと言って、何の問題もなく平らげていた。ただし「お箸はすべってだめだわ〜、ごめんなさいね」とフォークで。確かにこれはゼリーだからね。私だってつるつるすべって食べにくいと思うもの。
色々楽しい話を聞かせてもらって帰途についた。ここで私はちと惨めな経験をすることとなる。ワインと珈琲と水のせいで、ただでさえトイレが近いのに、車中で耐えられない状況に。だが、走る道はどこまでも続く美しい田舎道でガソリンスタンドなどない。「田舎だからこそ、道端の森ですればよい」とPは言い、道端に車を止める。田舎道だからと言って、車が通っていないわけではない。「森に入るところを他の車に見られる」とぐずる私であるが、「しょうがないだろう、いいから行け」と怒られる。くー、恥ずかしいー、と思いながらも、バキバキと枯れた小枝を折りながら、森へ。Vさんち以上のナチュラルな環境でございました。何事も経験。
夜はMちゃんと一緒に遊園地のLinnanma:kiへ。私はなぜか胃のあたりが気持ち悪くて、行くのもやめようかと思っていたのだが、乗り物は何も乗らなくていいから一緒に行こうとMちゃんに言われ、太田胃散を飲み、カバンにビニール袋をしのばせて車に乗り込んだ。途中、マクドナルドでスプライトを飲み、少し落ち着いた。むかむかには炭酸飲料が案外効く。
これならいけるかもしれない、とジェットコースター(そんなに怖くはない)にも乗った。船の形をした乗り物が前後に大きく揺れる乗り物のあとは、Mちゃんも私も「ちょっと気持ち悪くなったね」と苦笑。最初の方はおもしろいんだが、終わりの方になってくると「早く止まらないかな」と思う。私の隣に一人で座っていた小さい男の子は、最初は笑顔でいたものの、途中からものすごくまじめな顔をして口をすぼめて必死で閉じている様子だったので、まさか、大丈夫かいな、と心配であったが、無事に最後まで乗っていた。良かった・・・。
屋内を走るジェットコースターにMちゃんと並んでいるとき、信じられないことがあった。ジェットコースターが我々の前に止まり、ゲートが開いたのでまずはMちゃんがシートに乗り込んだ。すると、私を押しのけて、おばさんと幼児がシートに乗ったのである。え、あなたは私達の後では、と言ってみるも、英語だし、そもそもそのおばさんは人の話なんて全然聞いていない。シートは二人用なので、カートに3人いるわけである。Mちゃんはおばさんに何か言われたらしく、怒った顔をしていた。ディズニーランドなんかだったら、ここで係員が入って整理してくれると思うんだが、そういうのは無し。おばさんは降りる気配など微塵も見せないので、Mちゃんに「次のに乗ろう」と言って呼び返し、別のカートに乗っていたPに「出口でね」と連絡。Pは何が起こっていたかよくわかっておらず、ハテナマークの顔をしていた。upsetしていたMちゃんによると、おばさんは「私達の番だからね」などとブツブツ言っていたらしい。「失礼な人だったね〜。でも気にせず楽しもう」と言うと、すぐに笑顔になり、「Yes. Let's not let her ruin our fun.」と大人なMちゃんである。感心。
その後は何の問題もなく、楽しく遊んで帰宅した。ビニール袋も使う必要がなかったし良かった。