滞米時、気候のせいで飛行機が遅れたり、乗れなかったりという経験があることを以前書いた。別の便に変更したものの、荷物は全然違うところへ飛ばされたことも何度かある。ちゃんと戻ってきたが、一度は泥だらけであった。どこに放置されてたんだか。
スーツケースにつけたタグに書いてある便へ乗せることがそんなに複雑なことだろうか、と不思議に思う。もうちょっと頭を使え、とか、細かいところまで気をつけろ、などとというレベルではなく、「普通に仕事してよ、普通に」と思ってしまうのは、I expect too muchなのだろうな、あの国では。と嫌味のひとつもいいたくなる思いを昨日した。
直接嫌な思いをしたのはPである。経緯は省くが、自分の仕事以外は絶対にしない、そして自分の仕事もろくにこなせないinefficient以下なC航空の地上係員のせいで、アメリカ出張中だった彼は、乗るはずだった国内便に乗れなかった。航空会社のせいではないと言い張る無能係員は、100ドルで目的地の最寄の空港までの別の便に変更することはできる、そこからレンタカーで目的地へ行けば、と言ったらしい。どうしても翌朝の会議に出なければならないので、その晩に目的地につかなければならなかった彼は、100ドルを払い、別の便へ搭乗。その便が定刻より少し早くつき、ふと見ると隣のゲートでは、彼の目的地へ向かう便が搭乗手続き中。これに乗れば車で行かなくともいいではないか、と係員に料金を払うから乗せてくれ、と言ったが、そういう話はカスタマーサービスへ行け、でもそうしたら搭乗に間に合わないけどね、などと言われ、結局乗れず。怒り心頭の彼であったが、仕方ない、スーツケースをピックアップしたら車で行くしかない、と覚悟。ただどれくらいの時間かかるのかがまったくわからない。係員は、知らない、としか返事はしなかったらしい。この時点で既に午後9時である。ネットでそういうことを調べる余裕もなく、baggage claimまでいく途中に私へ電話。何時間かかるか調べてくれと言う。運転しない私は、道順、それもアメリカのものなど、どうやって調べるのかも知らない。Map 24とか、そういうサイトを使えと言うので、そんなんあるのか、と思いつつ検索。ほー、すごい、欧州、北米、南米、中東、豪州の道順が調べられるサイトであった。
調べた結果、Pが今いる空港から目的地までは4時間38分と判明。もう夜だし、今晩はそこに泊まっていけば、と言ってみたが、翌朝出発していたのでは会議に間に合わない、と言い、5時間以下ならそう悪くない、と運転に慣れている人ならではの台詞。夜遅く、おまけに外国の知らない町から町へ移動せねばならないのに。
一度電話を切り、しばらくして再度電話が鳴る。「思ったとおり、やつらはスーツケースをなくしおった」とP。どこかよそへ送ったらしい。かーっ、どこまでも無能。「この航空会社のことは全然信用していないので、こういうことになるかと思い、下着だけブリーフケースに入れておいた」と素晴らしい予知能力。つーか、「やっぱりね」という展開なわけだが。
その後、レンタカーを借り終わった彼から、詳しいルートを教えてくれ、と再度電話あり。ナビゲーションはついてないのか、と言うと、「地図をくれただけ」とのこと。レンタカーを借りたことがないのでよくわからないが、今時、ナビゲーションぐらい標準でつけておけば、と思うのだが。大体、出張者や旅行者が利用することが多いんだろうし。レンタカー店の人は、簡単な道順は教えてくれたらしいが、なんせ知らない町の夜中のドライブ、詳しい情報があったほうが安心である。
Map 24に書いてある道順は、ロードマップを見慣れない私にはえらく複雑。高速の乗り換えが10回くらいある。一応全部読み上げる。じゃ、また連絡する、と電話を切った時点ですでに午後10時。アンビリーバボーなくらい気の毒である。
そして20分後、迷ってしまった、と電話。空港からのロードサインがわかりにくく、変なところへきてしまったとか。高速に戻りたいのだが、道がさっぱりわからない。サインも何もない。決して安全とは言えない地区をぐるぐる回っていると言う。ティーンエージャーらしき妊婦が歩いていたので、道を聞いてみる、と聞いていたが、「知らない」とあっけなく答えたのが私にも聞こえた。「まじで道順を探すから、一旦切る」とPは電話を切った。
20分後、mugされてないかな、とこちらから電話。無事高速に戻ったとP.じゃ、そっちから電話してよね、心配してたんだから、と思うが、一番恐い思いをしたのは彼なのでだまっておく。車を止めたカップルがいたので道順を聞いてみたら、教えてくれたらしい。高速の入り口は、絶対自分では見つけられなかったようなところにあったとか。何はともあれ、一安心。
居眠り運転をしてはまずい、と思い、ときどき電話をした。向こうからもかかってくる。一度道順を読み上げただけで、メモをしたとはいえ、もう把握しているらしく、今はXXにいて、現時点でXXマイル走っているから、あと数分でOOに乗り換えだ、などと言う。やっぱり車での移動に慣れている。
そして現地時間午前3時ごろ、「ホテルの部屋についた」と電話。「お疲れさまーっ!」と彼も知っている日本語で労う。いやー、本当にお疲れ様である。「4時間寝られる。手伝ってもらって助かった。悪いが、もう寝る」とゾンビ状態の声のP。
翌日は無事会議に出て、その後、フィンランドへの帰途についたらしい。スーツケースは、欧州行きの飛行機に乗る国際空港に届いていたとか。途中、アムステルダムで乗り換えもあるし、ヘルシンキの空港まで届くかどうか楽しみだ、とメールが届いていた。最後まで気は抜けない。