Path to the supermarket

スーパーマーケットまでの小道。私はこれを「森」と呼ぶが、Pは「あんなものは森ではない」と言う。どうみても森ではないか。きれいな声で鳴く鳥がいて、カラスかなんかしらんが大きめの黒い鳥が、融けた雪でできた小川みたいなところでばしゃばしゃと水浴びをしていて、切り株に長い髭をはさまれた小人が助けを求めてきても驚かないくらい森だと思う。
Pに言わせれば、木々の間から電気が見えたりしているのは本物の森ではないらしい。夜になれば真っ暗っていうのが森なんだとか。まあ、確かに街灯はついてるし、スーパーの看板もうっすら見えているわけだが、「森」と呼ぶ以外なんと呼べばいいのだ。
初めてここを一人で歩いたときは、だーれともすれ違わないし、町中に住むことに慣れきっている私は、「なんて寂しいところだ」と悲しくなった。だが、徐々に、こんな森の小道を通ってスーパーに行くという環境が妙におかしく笑うようになった。「森歩いてるよ、森」って感じで。
そしてこの小道を抜けたところにある小ぶりのスーパーマーケットには、アメリカ人かというような英語を話す若いお兄さんが働いている。レシートいるか、とかお釣りはいくら、だとか、短い会話をかわすくらいだが、アメリカにいると錯覚するくらい非常に自然でこなれた表現を使い、まったく訛りなくしゃべる。まあそりゃ、アメリカ人なのかもしれないけどさ。いや、もしアメリカ人ならほぼ間違いなく色々話しかけてくるだろうから、やっぱり違うな。
ああ、あたしもフィンランド語勉強せねば。3つくらいしか単語知らないし。