フグを自宅で調理して亡くなった人がまた出たらしい。お気の毒である。が、なんでまた自宅で、と思う人がマジョリティではないかと思う。
滞米時、日本人がフグを食べるのはロシアンルーレットのスリルを味わうためだ、などと言うメリケンがいて、それは違うんじゃ、と思ったことがある。だが、当時学生だったわたくしは、フグなんて高級品は口にしたことがなく、別に食べたいと思ったこともなく、毎年何人か死ぬってニュースは見るなあ、くらいの興味しかなかった。でも、料亭でフグを食べる人が、「死ぬかもしれない」スリルを味わっているとは思えない。そうメリケンに言ったものの、それでは彼らにとってエキゾチックな異文化とはならないし、フグを食べるというfirsthand experienceがない私が説明したって説得力はない。
で、社会人になってフグを食べた。別にスリルを求めてオーダーしたわけでもない。当時の恋人と一緒に小料理屋に行き、「フグにすっか」「うん」と、ごくふつーにヒラメの刺身を頼む感覚でオーダーした。骨せんべいをい頼む感覚でも良い(あ、食べたい)。正直、ヒラメやカワハギのお刺身の方がおいしいと思った。フグチリも、別においしくないわけではないが、そうありがたがって食べるようなものでも、という感想であった。一生フグを食べてはならぬ、と言われても、全然悲しくない。
家でフグを調理する人っていうのがチャレンジャーだというのは否めまい。If you don't do it right, you DIE. 後がないんだからさ。やめなってば。